【在日韓国人の相続は日本人と違う】

身内の方が亡くなられた時には様々な手続きが必要になりますが、死亡したのが日本人なのか在日韓国人または元在日韓国人(帰化した人)なのかで相続手続きが違いますので、このページでしっかり解説して行きます。

【目次】


韓国人の相続の大変さ
韓国人と日本人の相続制度の違い
韓国人が日本式で相続するには
葬儀費用はどうするか?
どうしても葬儀費用がない時

[取り急ぎやる事]
1.日本に死亡届を出す
2.韓国領事館に死亡届を出す
3.韓国戸籍の取寄せ・翻訳
4.遺言状を確認する
5.財産を確定させる
6.相続放棄を検討する
7.相続人を確定する
8.銀行預金の引き出し
9.年金の受給停止
10.遺族年金の受給

[落ち着いたらやる事]
11.不動産の名義変更
12.有価証券の名義変更
13.自動車の名義変更
14.動産(車以外)の遺産分割
15.生命保険金の受け取り
16.世帯主変更届
17.健康保険証の返却
18.公共料金・携帯電話の解約
19.免許証・パスポートの返納
20.高額医療費の請求
21.相続税の申告
22.確定申告
23.個人事業の廃業届

【韓国人相続の大変さ】 

身内に不幸があった時、必ず遭遇するのが相続手続きです。
相続と言うと、関係あるのは莫大な財産がある家だけの話で、そうでもない家庭だと関係ないというイメージをお持ちの方もいらっしゃいますが、そうではありません。
相続手続きとは、故人様の預金を引き出したり、家や建物の所有者を変更したり、保険や遺族年金の手続きをしたりと、
遺産の額に関係なく必須な手続きばかりです。

経験された事がある方は相続手続きの大変さはご存知だと思いますが、身内を亡くした後はただでさえ悲しみと不安で茫然としているのに、葬儀や法要だけではなく、預貯金・保険・年金・財産分与や名義変更、不動産の登記まで、何から手を付けたらいいのか・・・考えるだけで気が遠くなってしまいます。

ましてや、亡くなった方が
韓国人又は帰化した元韓国人の方だったり、残された親族の中に韓国人又は帰化した元韓国人の方がいらっしゃると、手続きの手間が格段に跳ね上がります

このサイトがそういった方々に少しでもお役に立てれば嬉しいです。

当事務所では、相続手続きに欠かせない
故人様の出生~死亡までの韓国戸籍関連書類の収集と翻訳をセットでご用意させて頂ける、韓国戸籍相続セットのご提供を開始しました。
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【韓国と日本の相続制度の違い】 

在日韓国人の方が日本で亡くなられた場合、どちらの国の法律に従った相続手続きになるかご存知でしょうか?
実は法律上、亡くなった時点の国籍が韓国籍であるならば、日本在住の方でも
韓国の法律に基づいて相続しなければなりません。

韓国と日本の相続ルールの違いを大まかにまとめてみました。

日本人 韓国人
相続人の
第一順位
配偶者1/2
子1/2
配偶者と子で頭割り(配偶者のみ1.5倍)
相続人の
第二順位
配偶者2/3
親1/3
配偶者1.5倍
親・祖父母1.0倍
(親も子もいなければ配偶者が単独相続)
相続人の
第三順位
 配偶者3/4
兄弟姉妹1/4
 兄弟姉妹と
その代襲相続人
 相続人の
第四順位
なし 4親等以内の傍系血族
(伯父母・叔父母・甥・姪・従兄弟・祖父母の兄弟姉妹など)
遺留分 配偶者・直系卑属
直系尊属
配偶者・直系卑属・
直系尊属・兄弟姉妹
遺産争いも遺言書もなく、上記法律の規定通りに行う遺産分割を法定相続と呼びます。
法定相続通りに遺産分割をしないのであれば、相続人全員が集まって遺産分割協議書を作成し実印を捺印して印鑑証明書を添付しなければなりません。

当事務所では遺産分割協議書の作成代行も取り扱っています。
ご相談はメールフォームからお願いします。

[ポイント]
韓国法では、第一順位に孫やひ孫が含まれる。子・孫・ひ孫の人数が多いほど、配偶者の取り分は減る。

韓国法では、子のいない夫婦で親や祖父母も他界していた場合、配偶者の単独相続となる。

韓国法では、伯父母・叔父母・甥・姪・従兄弟・祖父母の兄弟姉妹など、普段付き合いの無い人に相続権が発生する事がある。

韓国法では、子が先に死亡していた場合に孫だけではなく子の配偶者も相続人になる。

韓国法では、兄弟姉妹も遺留分の請求権がある。

相続放棄する場合は在日韓国人でも日本の家庭裁判所に申し立てできるが、韓国に相続財産がある場合や韓国在住の債権者がいる場合には、韓国の家庭裁判所にも申し立てするほうが良い。
また、韓国法では相続人の範囲が広い為、相続放棄する対象の人数が多くなりがち。

【韓国人でも日本法で相続したい】 

上記のように韓国と日本の相続ルールには結構違いがあります。

困った事に日本国内には韓国法に詳しい人はあまりいないですし、いざという時になってバタバタと韓国の法律を調べたり韓国法に詳しい弁護士を探すのでは大変かと思います。
しかも韓国では2018年以降、
何度も法律の大きな変更があり、それらを全て把握できている専門家も少ないと聞きます。

在日韓国人の方の多くが「自分が亡くなった時に韓国式の相続になってしまうと
残された家族に迷惑がかかるのではないか、とても不安だ」とおっしゃっているのを良く耳にしますが、本当におっしゃる通りです。

そこで、在日韓国人の方でも日本法によって相続をする方法をご紹介します。

① 遺言書
ご自身がお亡くなりになる前に、
日本法で相続できるような内容の遺言書を作っておけば安心です。
(公正証書遺言をお勧めします)
遺言書の作成で迷われたら、当事務所でサポートさせて頂きます。
ご希望の方はメールフォームからその旨お知らせ下さい。

② 帰化申請
お亡くなりになる前に
帰化をして日本人になってしまえば、自動的に日本法での相続となりますので非常にお勧めです。
当事務所では、帰化申請のトータルなサポートもさせて頂いております。

但し、この2つの方法も
ご本人が亡くなってからでは遅いので、そうなる前に準備しておきましょう。

【葬儀費用はどうするか?】 

告別式や火葬などもろもろの葬儀費用の平均は、160万円~180万円ぐらいだそうです。

お金に余裕があればそれでいいのですが、そうでない場合に故人の口座から引き出せないかな?と考える人もいるようですが、なかなかそうも行きません。
口座名義人が亡くなった事が分かると銀行が口座を凍結するので、いくら妻子であっても現金を引き出す事は難しいのです。

銀行に
死亡の事実を伏せて現金を引き出そうと考える人もいますが、後で揉めたりややこしい事になる可能性は十分にありますので、お勧めできません。
さらに、自動引き落としなどの契約がある場合には、口座を凍結しておかないと知らない間にどんどん口座の残高が減って行ってしまいます。
また、銀行に黙って預金を引き出すと、遺産を単純承認したとみなされる事もあり、後で故人様に借金があった事が判明しても相続放棄や限定承認が受けられないリスクが発生する可能性もあります。

ですので銀行口座から現金を引き出すには、故人様と相続人との関係性が分かる韓国戸籍書類の収集と翻訳を行い、相続人全員合意の上できちんと口座解約の手続きが終わってからにされたほうが良いでしょう。
葬儀費用に関しては、残された遺族の方が話し合っていったん誰かが立て替えされる事をお勧めします。

具体的にどんな韓国書類が必要か確認するのが面倒だ、確認してみたが良く分からないという方は、無料で当事務所が銀行に直接電話確認させて頂くサービスもございます。
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【どうしても葬儀費用が無い時】 

そうは言っても無いものは無い、という事もありますよね。

そんな人の為に、2019年7月から
遺産分割前の預貯金の払い戻し制度が始まりました。
これは、葬儀費用や医療費・当面の生活費などの為に故人様名義の預貯金の
一部が引き出せるという制度です。

前述の通り、口座名義人が亡くなるとその口座は遺産分割の手続きが終わるまで凍結される事になるのですが、遺産分割前の預貯金の払い戻し制度を利用する事によって、遺産分割の手続き前でも金融機関から預金の一部引き出しを受けることができ、当面の現金を確保できるようになったのです。

またこの制度の優れている点は、遺産分割前でもそれぞれの相続人が
他の相続人の同意なしに単独で預金の払戻しが受けられる点にあります。

この払い戻し制度は、2通りの方法があります。

[① 家庭裁判所を通す場合]

家庭裁判所が認めれば、その認められた金額の範囲内で預貯金を払い戻しを受ける事ができます。
※どうしても預金の払い戻しが必要な事情があり、なおかつ他の相続人の利益を害しない場合にのみ認められます。

[② 家庭裁判所を通さない場合]
家庭裁判所を通さずに、金融機関から
単独で簡単に払い戻しを受ける方法もあります。
払い戻しを受けられる額は「預金額÷3×払い戻しを行う相続人の法定相続分」となります。
(例)預金額600万円で長男・二男が相続人の時、長男が単独で払い戻し可能な額=600万÷3÷3.5=57万円程度となります。
尚、1金融機関あたりの上限は150万円までとなります。

家庭裁判所に認めてもらえなくても金融機関から直接出金する事ができますので、②の方法はかなりお手軽です。

但しこの制度を利用する時、故人様又は相続人の方が
韓国籍元韓国人だった場合は、親族関係を証明する書類として基本証明書・家族関係証明書・婚姻関係証明書・養子関係証明書・除籍謄本を取り寄せ、翻訳する必要があります。
※相続用の韓国戸籍書類の取寄せと翻訳の代行はこちらから承っておりますのでぜひ一度ご検討下さい。

また、一つ注意事項があります。
遺言書が存在する場合、
内容によっては預貯金の払い戻し制度が使えない事もあります
例えば、遺言で「Aに全財産を相続させる」などという記載がある場合には、A以外の相続人は預貯金の払い戻しを受ける権利はありません。

尚、当然の事ですが、この制度を利用して預貯金の引き出しをした相続人は、遺産分割の際には既に相続財産の一部を受け取っているものとして計算されます。

【1.まずは日本に死亡届を】 

それではいよいよ、やらなければならない相続手続きについて順を追って説明して行きたいと思います。
(※葬儀・通夜・法要などのステップは、宗派などによっても違いがありますのでここでは割愛させて頂きます。)

まず初めにしなければいけないのが、日本の役所への
死亡届です。
病院から死亡診断書を受け取ったら、基本的には同居親族が死後7日以内に市区役所に提出するのですが、同居親族がいなければそれ以外の親族の方でも問題ありません。
葬儀社などがやってくれるのであれば、死亡届の提出も任せてしまって大丈夫です。

[提出先]
下記のいずれかの市区町村役場
故人の本籍地
死亡地
届出人の住所地

死亡届と一緒に「埋火葬許可証交付申請書」を提出する事により「火葬許可証」が発行され、火葬が終われば「埋葬許可証」を発行して貰えるのですが、これも葬儀社がやってくれる事が多いようです。

【2.韓国領事館にも死亡届を】 

日本に死亡届を出した後、故人様が韓国籍のまま亡くなった場合に限り韓国領事館にも必ず死亡届を出さなければなりません

地域や届出をする時期などによって必要書類は多少変わりますが、韓国領事館に死亡申告をするには以下のような書類が必要になる事が多いです。

死亡申告書
(ハングルで記載)
死亡届記載事項証明書(日本の役所に請求)
上記をハングルに翻訳した翻訳文
住民票の除票(申請が遅れた場合)
上記をハングルに翻訳した翻訳文
申請人の身分証
申請人の印鑑

都道府県 韓国領事館
北海道 駐札幌総領事館
011-218-0288
青森・秋田・岩手
山形・福島・宮城
駐仙台総領事館
022-221-2751
東京・千葉・埼玉
栃木・群馬・茨城
駐日本国大使館
03-3455-2601~3
 
神奈川・静岡
山梨
駐横浜総領事館
045-621-4531~2
長野・新潟
富山・石川
駐新潟総領事館
025-255-5555
愛知・三重
福井・岐阜
駐名古屋総領事館
052-586-9221~3
 
大阪・京都・滋賀
奈良・和歌山
駐大阪総領事館
06-6213-1401~5
 
兵庫・岡山・鳥取
香川・徳島
駐神戸総領事館
078-221-4853~5
 
 広島・山口
島根・愛媛・高知
駐広島総領事館
082-505-2100
 
福岡・佐賀・長崎
大分・熊本・宮崎
鹿児島・沖縄
駐福岡総領事館
092-771-0461~2

韓国領事館に対する申請は、面倒で難解です。
当事務所では、韓国領事館に対する死亡申告をフルサポートをさせて頂いています。

尚、韓国死亡申告フルサポートをお申込み頂いた方には特典として、様々な相続手続きで大活躍する韓国戸籍相続セット(故人様の出生~死亡まで全ての書類と翻訳セット)を30%offでご利用頂けますので、ぜひ一度ご検討下さい。

【3.韓国戸籍の取寄せ・翻訳】 

在日韓国人が関係する相続で一番大事なステップ、それは故人様の韓国戸籍書類の収集と翻訳をする事です。
相続の関係者が全て元々から日本人だという相続手続きであっても戸籍謄本は重要な役割なのですが、在日韓国人または元在日韓国人(帰化者)が相続人あるいは被相続人であれば、韓国戸籍入手の重要度がさらに増し、
あらゆるシーンで韓国の戸籍関連書類とその翻訳文が必ず必要になります

その理由は、故人様との親族関係を証明し、誰が相続権があって誰が相続権を持たないか、第三者からみても明らかに分かるようにする為には韓国の戸籍関連書類が一番重要だからです。

相続関係人の中に一人でも韓国籍の方がいらっしゃる場合はもちろん、たとえ相続関係人全員が日本人であったとしても、過去に韓国籍から帰化した方が1人でもいらっしゃれば
出生以降全ての韓国の戸籍関連書類は必須になります。
帰化者の場合、昔の韓国戸籍にお子さんなど相続人に該当する方が載っているケースもある為です。

韓国戸籍関連書類とその翻訳文が必要になるシーンの一例をご紹介します。
故人様の銀行口座から
預金の引き出し
故人様の
不動産所有権を相続人に書き換え
車など動産の名義変更
有価証券の名義変更・換金
保険や医療費の払い戻し
遺族年金の受給
遺産分割協議書の作成
などなど、上記の一例で挙げただけでも、韓国の戸籍と翻訳文が役所や金融機関など様々な所から求められる大切な書類である事がお分かり頂けるかと思います。

また、全ての手続きには期限がある事がほとんどですので、モタモタしていると損をしたり面倒な事態になることが多いです。
韓国戸籍と翻訳文の入手は優先順位を高くしてスピード勝負で早めに準備される事をお勧めします。

では、相続に必要な韓国の戸籍関連の書類とは具体的にはどのようなものでしょうか?
必要書類はケース(相続人の構成や提出先など)によって若干の違いがありますが、「
故人様が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を持って来て下さい」などと、ざっくりした内容で求められる場合がほとんどです。
(途中で帰化した人は、生れてから帰化によって国籍喪失するまでのもの)

しかし、韓国では2008年の戸籍制度改革により現在は戸籍謄本そのものが存在しなくなっています(2008年以前の戸籍は全て閉鎖され、名前も除籍謄本に変更されています)し、2008年以降は戸籍謄本に代わる証明書として、基本証明書・家族関係証明書・婚姻関係証明書・養子関係証明書・親養子関係証明書の5種類に分割されたものになりました。(個人情報を保護するのが目的だそうです)

ですので、厳密には「生まれてから亡くなるまでの戸籍」というのは存在しないのですが、そう言われた場合に用意すべき書類は下記の通りとなります。

[2008年以降の戸籍書類]
基本証明書
家族関係証明書
婚姻関係証明書
入養関係証明書
[2008年以前の戸籍書類]
出生~2008年までの除籍謄本(時代により、コンピュータ書き・手書き横書き・手書き縦書きの3種類が存在します)

故人様の上記韓国書類とそれぞれの翻訳文は、ほぼ必ずと言ってもいいほど必要になります。
当事務所ではこれらの
書類の収集と翻訳をセットでご提供させて頂いております。
除籍謄本が何冊出てきても、何ページあっても追加費用は一切ありません。
詳しくは韓国戸籍相続セットをご覧下さい。

【4.遺言書があるか確認】 

相続手続きを進めるにあたって遺言書が必ず必要というわけではないのですが、もし遺言書が存在すればそこに書かれている事が優先になりますので、まずは遺言書が存在するかどうか確認しましょう。

それでは、遺言書の有無はどのように確認すれば良いのでしょうか?いくつかご紹介したいと思います。

① 自宅を探す
まずは故人様が住んでらっしゃったご自宅をくまなく探してみましょう。
分かり辛い所に遺言書が隠されているかも知れません。
また、自宅以外にも事務所・貸金庫・信託銀行などに預けられている事もあります。
もし自筆の遺言書を見つけたら、
開封せずにすぐに家庭裁判所での検認を受ける必要があります。
家庭裁判所の検認には、故人様の出生~死亡までの韓国戸籍が必要になります。

② 親族や近しい人に聞く
親族さんや故人様が生前に親しくされていた方なら、何か聞いてらっしゃるかも知れません。
一度、確認してみるのも良いでしょう。

③ 法務局で検索
2020年7月から、法務局が自筆証書遺言を保管してくれるサービスを開始しています。
3,900円でお手軽に利用できて遺言書の紛失や改ざん・盗難などの心配がなく、さらに家庭裁判所の検認も必要ないなどメリットが多い事から、最近では利用者が急増していますので、もしかしたら遺言書を預けられているかも知れません。
遺言書が
あるかどうかどのような遺言内容かを法務局で検索してもらえますので、一度ご確認される事をお勧めします。
尚、検索してもらうには相続人である事を証明する為の韓国戸籍関連の書類が必要になります。

④ 公正証書遺言の検索
公証人役場で公正証書遺言を作成された方が亡くなったら、その相続人は公証人役場へ問い合わせれば
遺言検索システムで遺言書の有無を確認して貰えます。
手続きに関して詳しくは、最寄の公証人役場へご確認下さい。
尚、遺言書検索システムを利用するには、相続人である事を証明する為の韓国戸籍関連の書類が必要になります。

①②③ともに、具体的にはどんな韓国書類が必要か確認するのが面倒だ、確認してみたが良く分からないという方は、無料で当事務所が書類の提出先に直接電話確認させて頂くサービスもございます。
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【5.財産の確定】 

遺言書の確認が終わったら、次は財産を確定させます。
エンディングノートなどが無ければ、通帳や不動産の権利書なども確認しましょう。
併せて郵便物などもチェックして、生命保険や有価証券の有無も確認します。

また、借金などマイナスの財産も財産のうちです。
(保証債務も含みます)
こちらは特に念入りに確認するのが良いでしょう。

[マイナス財産に関する注意点]
実は故人様が借金をしていたという場合があり、何かの拍子に債権者の方々と話す機会がある可能性もありますが、その際に注意して頂きたい事があります。
それは、相手が返済を求めて来ても
安易に返済しない返済する意思表示もしないという事です。
これをしてしまうと、相続の「単純承認(プラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐこと)」とみなされ、後に莫大な借金が見つかっても相続放棄や限定承認などが出来ない事態になる可能性があります。

プラスの遺産もマイナスの遺産も大体把握できたら、相続財産の分割をスムーズに行う為に、しっかりとした相続財産の
目録を作りましょう。
これにより具体的な遺産が一目ではっきりすると同時に、プラスの遺産とマイナスの遺産どちらが多いのかも分かります。
漏れが無いようにしっかり作りましょう。

[目録に記録するプラス遺産の例]
現金、預金、不動産、有価証券、自動車、貴金属や時計、絵画や美術品、家具や家電、日用品、権利など

[目録に記録するマイナス遺産の例]
借金、連帯債務、商売上の借入金、買掛金、未払金など

【6.相続放棄】 

上記で財産の確定をしてみたら、負債のほうが多かったという事もあります。
そうなってしまったら、相続放棄を検討してみるのも良いかも知れません。
相続放棄をすれば、プラスの遺産を相続できない代わりに借金も放棄できます。

また、相続財産がプラスになる範囲で返済する「限定承認」という方法もあります。

相続放棄も限定承認も、故人様の
死亡を知ってから3カ月以内ですので慎重かつ早めに決定しましょう。
期限内に家庭裁判所に手続きをしないと、借金を含め全ての遺産を引き継がなくてはならなくなる可能性があります。

尚、相続放棄や限定承認をする為には、故人様と申請者の家族関係を証明する韓国戸籍などの資料が必要になります。
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【7.相続人の確定】 

遺産の確定と相続放棄するかどうかが決まれば、次は相続人の確定をします。
相続人の確定をするには、故人様が生まれてから死亡するまでの韓国の戸籍謄本などの書類を取り寄せて翻訳し、家族関係をチェックする作業が不可欠です。

相続人が確定したら、誰がどの割合で相続するのか決めて行くのですが、それにはいくつか方法があります。

① 法定相続
遺産を誰が何割貰えるのか、その基準は法律で決まっています。それを法定相続と言います。
基本的に相続は、この法定相続分に基づいて遺産を分割する事が多いです。
但し、在日韓国人の方が亡くなられたのであれば法定相続分も日本人とは違いますので、下記の表を参考にして下さい。

日本人 韓国人
相続人の
第一順位
配偶者1/2
子1/2
配偶者と子で頭割り(配偶者のみ1.5倍)
相続人の
第二順位
配偶者2/3
親1/3
配偶者1.5倍
親・祖父母1.0倍
(親も子もいなければ配偶者が単独相続)
相続人の
第三順位
 配偶者3/4
兄弟姉妹1/4
 兄弟姉妹と
その代襲相続人
 相続人の
第四順位
なし 4親等以内の傍系血族
(伯父母・叔父母・甥・姪・従兄弟・祖父母の兄弟姉妹など)
遺留分 配偶者・直系卑属
直系尊属
配偶者・直系卑属・
直系尊属・兄弟姉妹

例えば、プラス遺産からマイナス遺産を引いた遺産の総額が4,500万円とすると、奥さんとお子さん3名の合計4人で相続する時の法定相続分は、下記の通りとなります。
奥さん・・・1,500万円
お子さん・・・それぞれ1,000万円ずつ
※実子・養子・婚外子に順位の差はありません。

② 遺産分割協議
相続財産は、なにも法定相続通りにしないといけないわけではありません。
遺言書が無い時は、相続人
全員が納得すれば、自由に遺産分割をする事が出来ます。

書式は自由ですので、協議の内容を記載し、相続人全員が実印を押印し印鑑証明書を添付すれば完成です。
この遺産分割協議書は、故人様の韓国戸籍関連書類とセットにする事で、金融機関の預金引き出し・不動産の名義変更・有価証券や自動車の名義変更・相続放棄手続き・遺族年金の受給・相続税の申告などあらゆるシーンで活躍します。

遺産分割協議書の作成サポートは当事務所でも取り扱っておりますので、詳しくは無料相談からお申込み下さい。

③ 家庭裁判所での調停
普段仲のいい家族でも、遺産分割協議になると揉めてしまってまとまらない事も多いようです。
そのような時は、家庭裁判所の調停を受ける事も出来ます。
家庭裁判所が出した判断に不服の時は上告も出来ますが、争っている間は当然相続手続きは止まってしまい、金融機関からの現金引き出しが出来なくて立て替えている葬祭費の清算が出来なかったり、不動産登記が遅れて過料(罰金のようなもの)が発生したり、相続税の納付が出来ず追徴課税を取られたりとデメリットも多いので、多少の不満があってもお互い譲り合い、一刻も早い解決を目指すべきでしょう。

【8.銀行預金の引き出し】 

口座名義人が死亡すると、銀行はその口座を凍結し、一切の取り引きが出来なくなります。
現金の引き出しはもちろん、毎月落ちていた自動引き落としなども出来なくなります。

まずは遺産の規模を確認する為にも、銀行から
残高証明書を取られる事をお勧めします。
遺産分割協議の際に他の相続人さんに対する証明になりますし、相続税の申告に利用したりできます。
残高証明書は遺産分割協議前であっても1人の相続人さん単独で取得することが出来ます。

相続人全員の協議と必要書類が揃い次第、故人様の銀行預金を引き出す事ができます。

相続人は、故人様が口座をお持ちの各銀行をまわって手続きをします。
必要書類等は銀行によって微妙に違いがありますが、手続きをされる方と故人様との関係を証明する韓国書類は必要になります。
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【9.年金の受給停止】 

故人様が年金を受給している、又は年金を受給している遺族の加算対象者になっているという場合、年金の給付を止めてもらう必要があります。
手続きを放置すれば、後日返金しないといけないなど面倒な手続きが出てきます。

逆に、まだ受け取っていなかった年金に関しては「未支給年金」として受け取る事ができます。

【10.遺族年金の受給】 

生計を支えていた故人様に先立たれたご家族は、遺族年金を受け取る事ができます。

故人様が国民年金に加入されていたのであれば「遺族基礎年金」、厚生年金に加入されていたのであれば「遺族基礎年金」に加えて「遺族厚生年金」の両方が得られます。

年収が一定以下の方、又は5年以内に年収が一定水準以下になると認められれば受け取る事ができます。
年収のボーダーラインは、子供の有無など様々な要因によって変わります。

詳しくは、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターで話を聞く事ができます。

また、遺族年金の受給条件を満たしていなくても、国民年金であれば「寡婦年金」か「死亡一時金」が受けられることがあります。
さらに厚生年金であれば「中高齢寡婦加算」や「経過的寡婦加算」が加算されることがあります。

尚、遺族年金の手続きをするには、故人様の韓国戸籍書類または手続きをされる方と故人様との関係を証明する書類が必要になりますので早めに手配しましょう。
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【11.不動産の名義変更】 

遺産には様々なものがありますが、不動産が一番分けるのが難しく、金額も大きいのでトラブルも多いです。
特に、故人様名義の自宅で配偶者などの家族が住んでいる場合が最も難しいので、そこにスポットを当てて解説します。

不動産を複数人で分ける為の代表的な方法は4つほどありますが、それぞれ一長一短あります。

① 代償分割
国税庁が発表している路線価などを参考に、家の評価額を割り出す方法。
不動産鑑定士などに依頼する方法もある。
もちろん、家を貰わなかった人は現金・預金など他の遺産を多くもらえるようにする。
現金・預金などの遺産が少ない場合、
家を相続した人が他の相続人に不足分のお金を払わないといけないケースも多い。

② 換価分割
家を売却して現金化する方法。
現金化してしまうので最も平等に相続できる方法だが、その家に住んでいる親族が住み続けられなって困ったり、家族の思い出が詰まった実家を売る事自体に抵抗があって新たな揉め事が発生する事も。

③ 共有分割
相続分に合わせて1つの家を複数人で共同所有する方法。
当面はこれで収まる事が多いが、相続人のさらに下の世代で揉める事も多い。

④ 現物分割
無理に平等に分けるのを諦め、お母さんは家、長男は有価証券、二男は武術美術品と貴金属、という風に遺産分割協議をして分ける方法。
平等にはならないので、よっぽど家族間や相続人の配偶者同士で信頼関係が成立していないと揉める事もある。

尚、上記①~④のどの方法を選んだとしても、不動産が故人様の名義になっている以上は不動産の名義変更(所有権移転)は必須となります。
※その不動産を売るとしても一旦は名義変更が必要になります。

また、2024年4月1日からは相続によって不動産を取得した相続人はその
不動産の登記申請をする事が義務化されます。
手続きを放置した場合は過料(罰金のようなもの)が科せられますので必ず登記手続きをしましょう。

不動産の名義変更をするには、故人様の韓国戸籍が必要になりますので事前に入手しておきましょう。
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【12.有価証券の名義変更】 

故人様が株式や投資信託などのいわゆる有価証券をお持ちであれば、名義を相続人名義に変更する必要があります。

有価証券は大きく分けて、株式上場会社の株式・非上場会社の株式・投資信託の3種類に分類されますが、それぞれによって手続きが違いますので注意が必要です。

[株式上場会社の株式]
現在すべての上場株式は電子化されているため、証券会社の口座で管理されているのが一般的です。
なので、株式を相続するには、故人様名義の証券会社の口座から、相続人の証券会社の口座に名義変更した株式を移管する手続きが必要になります。
相続人が証券会社の口座を持っていなければ、新たに口座を開設する必要があります。

また、故人様名義のA証券会社の口座から、相続人のB証券会社の口座に株式を移管することもできますが、同一種別の口座である必要があったりと移管には制限も多いので、相続人名義の口座を新規で作るのであれば故人様と同じ証券会社に口座を作るほうがスムーズです。

[非上場会社の株式]
非上場株式は上場株式と異なり、証券会社による管理はなされません。
したがって、株式発行会社に直接相続手続きを依頼する必要があります。
通常であれば、株式発行会社で株主名簿が保管されているため、株主名簿の書換えを請求することになります。
また、会社によっては信託銀行等が株主名簿管理人となっている場合もあります。その場合は、当該株主名簿管理人に対して株主名簿の書換えを請求することとなります。
株主名簿管理人については、株式発行会社の定款で確認することが可能です。また、定款の確認が困難な場合は、直接株式発行会社にご確認ください。

[投資信託]
現在、上場株式の株券は電子化されており、紙の株券は存在しないのが通常です。
電子化された株式は通常、証券会社の口座で管理されており、証券会社で名義変更や移管の手続きを行います

証券会社によって手続き方法が異なりますので、具体的な手続については、証券会社もしくは特別口座のある信託銀行等にご確認ください。

[必要書類]
株式や投資信託などの名義変更手続きを行う際の必要書類は、証券会社や金融機関によって取扱いが異なるため事前に確認が必要ですが、代表的な必要書類としては以下のようなものがあります。
株式名義書換請求書(会社によって名前が違います)
故人様の除籍謄本
株券(ある場合)
遺言書(ある場合)
検認済証明書(自筆証書遺言の場合)
遺産分割協議書
故人様の出生から死亡までの韓国戸籍謄本
相続人全員の印鑑証明書

※韓国の書類は具体的にどんな書類が必要か確認するのが面倒だ、確認してみたが良く分からないという方は、無料で当事務所が証券会社に直接電話確認させて頂くサービスもございます。
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株や有価証券を運用したくないから現金で欲しい、という相続人さんもいらっしゃいますが、有価証券は一旦名義を相続人さんに名義変更してから売却するというのが基本的な流れになります。

尚、故人様が所有していた株式が譲渡制限株式であっても、相続は売買とは異なるため(一般承継といいます)原則として相続人が株式を引き継ぐことは可能です。
但し、譲渡制限株式について相続が生じた場合、会社が相続人から株式を買い取れるようになっていて、会社から買取請求があると相続人は株式を引き継ぐことはできず、対価としての代金を受け取ることとなります。

【13.自動車の名義変更】 

故人様が自動車を所有していた場合、名義変更はしておいた方が良いでしょう。
理由は、そのまま手続きを放置すれば売却や廃車の手続きができなくなってしまったり、税金や保険などでトラブルに発展する可能性もあるからです。

1.所有者(名義人)の確認
まずは故人様が使っていた自動車の「所有者(名義人)」が誰かを確認しましょう。
これは、車の登録では所有者と使用者が違うケースがあるからです。
自動車の所有者は、車検証の「使用者の氏名または名称」の欄に記載されています。
この欄に故人様のお名前が書いてあれば、通常の名義変更の手続きを進めていきます。

もし車検証に書かれているのがリース会社や自動車ローン会社であれば、その車はローンの返済が終わっていない可能性が大ですので、相続人がローンを引き継がなければなりません。
相続財産からローンを一括返済する方法が一般的ですが、自動車の相続人がローンを引き継ぐことも可能です。(もちろんローンの審査を通ることが前提です)

2.誰が相続するのかを決める
自動車の所有者を確認できたら、誰がその自動車を相続するのかを決めます。
遺言がある場合はその遺言で指定された人が自動車を相続し、遺言がなく相続人が複数人いる場合は、遺産分割協議によって自動車の相続人を決めます。

遺産分割協議によって自動車の相続人が決定したら、協議の内容を「遺産分割協議書」にまとめ、協議書に相続人全員の署名押印をします。
遺産分割協議書は協議内容の証明になるだけでなく、その協議内容に相続人全員が合意したことの証となりますので、必ず作成しましょう。
また、名義変更等の手続きを行う際にも必要になる書類ですので、遺産分割協議書に記載する財産の情報は、その財産が特定できるように詳細に記載しなければなりません。
自動車の場合は、以下の情報を記載しましょう。
車名
登録番号
車台番号
型式

3.名義変更をする
自動車の相続人が決まったら、実際に自動車の名義変更手続きを行なっていきます。
名義変更の方法は、自動車の種類が普通自動車か軽自動車かによって異なり、普通自動車の場合は「新しい所有者の住所を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所」で、軽自動車の場合は「新しい所有者の住所を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所」で名義変更の手続きを行います。

手続きに必要な書類の一例は以下の通りですが、提出先によって違う事もありますので確認が必要です。

[普通自動車]
車検証
死亡が確認できる韓国戸籍関係書類
相続人全員が記載された韓国戸籍関係書類
新しい所有者の実印、印鑑証明書
車庫証明書(駐車場を変更する時)
遺言書(遺言書がある時)
遺産分割協議書(遺産分割協議をした時)
ナンバープレート(管轄する運輸局が変わった時)

[軽自動車]
所定の申請書
車検証
死亡の事実と新しい所有者との関係がわかる韓国戸籍謄本
新しい所有者の住民票の写しまたは印鑑証明書

自動車の価格が100万円以下の場合は、遺産分割協議書の代わりに「遺産分割協議成立申立書」を提出することができます。
遺産分割協議成立申立書は、自動車の相続人だけが押印をすれば良いことになっているため、遺産分割協議書よりも作成しやすいのがメリットです。
ただし、価格が100万円以下であることを確認できる査定証、または査定価格であることを確認できる資料の写しを申立書に添付する必要があります。

【14.動産の遺産分割】 

相続財産のうち、不動産以外の財産を動産と言います。
具体的には、車・時計・貴金属・絵画・骨董品・家具・家電・衣類・雑貨など、範囲はかなり広いです。
動産のうち、最も大事な自動車の名義変更については前項で解説しましたので、次は自動車以外の動産について解説して行きたいと思います。

相続が発生したら、相続人は故人様の所有していた財産について、誰が何を受け継ぐかを決めます。
動産と一口に言っても実際にはかなり幅広い範囲の財産が含まれます。
動産を相続人同士で分け合うためには、これらの財産を隅々まで特定する必要があります。
可能であれば、財産目録など書面にまとめて記録しておく事をお勧めします。
それでも実際にすべての動産を特定することは非常に困難です。
また、特定が終わったとしても「形見分け」などの遺産整理の一貫として処理されることも多く、一部の相続人が勝手に片見分けを行い、相続人同士のトラブルが発生してしまう可能性があります。

さらに、動産は大きいから価値が高いというわけではありません。
時計などの小さくて価値のある動産は、相続人が勝手に持ち出してしまう恐れがありますし、大きくて価値の低い動産は、誰も欲しがらずに処分費用だけがかかってしまうなど、トラブルの原因となることも多いのです。

このようなトラブルを防ぐため、相続が発生したら、できるだけ早い段階で遺産を相続人全員で把握しておきましょう。また、特に価値の高い動産については早めに評価額を算出しておき、分け方も決めておくと良いでしょう。

動産には様々な種類がありますが、貴重品や自動車など価値の高い物が含まれている場合は、誰か一人が貰いすぎたりと、不平等な遺産分割になってしまう可能性があります。
そのようなことを防ぐため、動産の遺産分割では「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3つの中から分割方法を選択することができます。

[現物分割]
現物分割は、動産ごとに相続する人を決める方法です。被相続人が使用していたものとして思い入れのある物などを「形見分け」として分け合う際に利用されます。
ただし、一見価値のないように見える古書やアクセサリーが、実はプレミアの付いた高価な物であると判明し、相続人同士でトラブルになる可能性がありますので、現物分割をする場合は、誰か1人が貰いすぎたり損をしたりすることの無いよう、相続人全員が納得できる分け方をしましょう。
また、財産の価値を1番良く知っている被相続人が、その動産の価値を示す資料や情報を残しておくことで、相続人同士のトラブルを未然に防ぐことができます。

[代償分割]
代償分割は、貴重品や自動車などの価値のある動産がある場合、特定の相続人がその動産を引き継ぐ代わりに、他の相続人に対して代償金を支払う分割方法です。
例えば、相続人が長男Aと次男Bの2人で、相続財産が評価額100万円の時計のみのケースを考えてみましょう。
このケースで長男Aが時計を引き継いでしまったら、次男Bは何も引き継ぐことができず、不公平な相続となってしまいます。このような場合に、代償分割を活用し、長男Aが次男Bに対して法定相続分の50万円を支払うことで、平等な相続を実現することができるのです。
この方法は、動産を引き継いだ相続人に代償金を支払うだけの資力があることが前提となります。したがって、動産の正確な評価を行い、どれだけの代償金を支払うことになりそうかを事前に計算しておきましょう。

[換価分割]
換価分割とは、動産をお金に換えて、そのお金を相続人で分け合う分割方法です。特に、美術品や骨董品など、一部の人にしか価値の分からない動産に関しては、お金に変えて価値を明確にすることで遺産分割をスムーズに進めることにつながります。
また、動産にはプラスの財産だけではなく、古くなったベッドやタンスなど、処分にお金のかかるマイナスの財産も存在します。このような財産の処分費用をどのように負担するかを事前に話し合っておくことで、相続人同士のトラブルを防ぐことができます。
なお、換価分割を行う場合、財産を売却してお金を得ることになるため、譲渡所得税の課税対象となります。

【15.生命保険金の受け取り】 

故人様が加入していた生命保険があるか否かを確認し、受取人に指定されている人は該当の生命保険会社に早めに連絡をしましょう。

すると、生命保険会社から必要書類の案内が書面で送られてくる事が多いです。
必要書類は生命保険会社によって違いますので、その案内に書かれている書類を集めて返送します。

【保険金の請求に必要な書類の一例】
死亡保険金請求書
被保険者の住民票
受取人の戸籍
受取人の印鑑証明
医師の死亡診断書または死体検案書
保険証券
その他
ここでも、保険金受取人と故人様との関係を証明する韓国書類が必要になる事があります。
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書類がきっちり揃っていれば、生命保険会社が審査を行い、支払可否の判断を下します。
保険金を支払っても問題ないとの判断が出れば、保険会社は速やかに(通常は1週間以内)死亡保険金の支払いを行います。
未返済の自動振替貸付金や契約者貸付金がある場合は、その元利金が保険金から差し引かれます。(入院給付金は差し引かれません。)

生命保険の受け取り手続きは、他の相続人に関係なく受取人が単独で手続きすることができます。

また、保険金は一時金で受け取る以外に、全部また一部を年金で受け取ることや据え置くことができます。
(取り扱い方法は生命保険会社や契約プランにより異なります)

尚、保険金や給付金を受け取る権利は、一般的に支払事由が発生した日の翌日から起算して3年を経過したときは時効により消滅すると約款に規定されていますので、請求もれに気づいたら生命保険会社に確認しましょう。

【16.世帯主変更届】 

意外と忘れがちなのですが、亡くなった方が世帯主の場合は世帯主変更届(住民異動届)の提出が必要です。
そのタイムリミットは14日と短いので、あわただしいですが忘れないようにしましょう。

ただ、誰が次の世帯主になるのか明らかな場合は届出は必要ありません。

[届出が不要な例]
元々夫婦2人暮らしで夫が亡くなり、妻が世帯主となる
夫婦と小さい子で暮らしていたが夫が亡くなり、妻が世帯主となる
祖母・母・子で暮らしていたが祖母が亡くなり、母が世帯主となる

【17.健康保険証の返却】 

故人の健康保険証はすみやかに返却し、資格喪失の手続きをしなければなりません。

現役でお勤めの方なら会社で手続きしてくれるでしょうが、個人で国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は、14日以内に故人の住民票上の役所で手続きをします。

その際、葬儀や埋葬にかかった
費用の一部として1~7万円が補助されますし、会社の健康保険組合などからも規定の金額を受け取れる場合が多いので忘れずに手続きしましょう。

介護保険を受けていた場合には、被保険者証の返却と資格喪失手続きも併せて行います。

【18.公共料金・携帯電話の解約】 

次は公共料金や携帯電話など継続的に料金が引き落とされているサービスの解約・名義人変更手続きを行いましょう。

銀行が故人様の死亡を知れば口座は凍結されますので、この手続きをモタモタしていたら電気やガスが止まってしまい、実家が真っ暗なんて事も起こりえます。
また、故人様が自動引き落としにしていた月額サービスなども、そのままにしておくとお金のムダになりかねませんから、早めに止めたほうが良いと思います。

故人様がどのような自動引き落としのサービスを利用されているかは基本的には普段から交流の深い親族さんに聞いて頂くのが一番大事ですが、それ以外にも通帳の引き落とし欄やクレジットカードの明細・請求書などの郵便物もチェックしましょう。

[良くある例]
電気
ガス
水道
固定電話
携帯電話
インターネットプロバイダー
NHK
クレジットカード
スポーツクラブ
ケーブルテレビ
衛星放送
有料ネットサービス
新聞・雑誌などの定期購読
その他サブスクサービスなど

電気・ガス・水道は各インフラ会社のお客さまセンターをネットで調べて電話し、固定電話はNTTの場合は116に連絡をするのが一般的な方法です。

【19.免許証・パスポートの返納】 

運転免許証やパスポートなどの公的な証明書類は、まだ失効していなければ返却する必要があります。

放置しても問題になる事はありませんが、盗難等のリスクを無くしたい方は面倒でもやっておいた方がいいかも知れません。

運転免許証
パスポート
マイナンバーカード
印鑑証明カード
シルバーパス など

【20.高額療養費の請求】 

遺族の方が故人様の医療費を払いすぎている場合には、高額療養費を請求する事ができます。
(限度額適用認定証を事前に医療機関に提出している場合を除きます)

健康保険組合や市区町村から通知が来る場合もありますので、チェックしておきましょう。

【21.相続税の申告】 

相続税の申告義務(支払い義務)が発生する相続人の割合は、日本では8%~9%ほどだと言われています。
つまり、
ほとんどの方が相続税がかかるレベルの遺産を受け継いでいないという事です。
2024年現在で相続税の基礎控除は、3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)という事になっています。
例えば、法定相続人が奥さん・長男・二男の3名だった場合、3,000万円+(600万円×3)=4,800万円までは
非課税という事になります。

もちろん相続財産の額は、プラスの遺産からマイナスの財産(借金など)を引き、さらに葬祭費なども除いた金額になります。
さらに相続税には
配偶者控除(1億6000万円まで非課税)、未成年・障害者控除、小規模宅地等の特例などの様々な控除があり、それらが適用される事で基礎控除を超えていても非課税になる事もあります。

もし沢山の遺産を引き継いで相続税の申告義務者になったら、死亡を知った日の翌日から10カ月以内に税務署に申告する義務があります。
申告漏れには重いペナルティが課せられますので注意しましょう。

【22.確定申告】 

故人様が確定申告義務者であったのならば、相続人が確定申告をしなければなりません。
これを、準確定申告と言います。

通常の故人の確定申告の場合ですと申告期限は翌年の3月頃ですが、準確定申告の場合は死亡を知った日から4カ月以内が申告期限になります。

[申告義務がある人の例]
複数個所からの給与所得があった
個人事業をしていて一定以上の利益があった
不動産を賃貸していた

尚、収入が公的年金のみで400万円以下であったり、他に所得があっても20万円までなら準確定申告をする義務はありません。

【23.個人事業の廃業届】 

故人様が個人事業をされていたのであれば、その事業自体を廃業する場合もどなたかが引き継ぐ場合でもどちらにしても1カ月以内に廃業届の提出は必要です。

株式会社などのいわゆる「法人」ですと社長が亡くなっても会社自体は無くならないのですが、個人事業の場合は代表者の死亡によって廃業が確定します。

ですので、管轄の税務署に「個人事業の開・廃業等届出書」を提出する必要があります。
どなたかがその事業を引き継ぐには、新たにその引き継ぐ人の名義で開業届を提出する必要があります。

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